メキシコシティーで滞在しているJoven Mundosというユースホステルは今まで滞在した世界中のユースホステルのなかで飛び抜けて良いホステルです。
まず宿泊費がドミトリーで1泊なんと12USD(約1050円)です。
しかも、2食付なのです!夕食もついて1泊12USDって、安すぎます。
朝食にはパンとシリアルだけでなく、スクランブルエッグやイタリアでいうところのブルスケッタのような温かい料理も出してくれるし、夕食は量こそ少なめですが、トルティーヤだとか、そういったメキシコ料理を出してくれます。
立地はソカロという歴史地区のど真ん中にある広場に面していて、部屋も、バスルームも、共有スペースも綺麗に掃除されています。セキュリティーもしっかりしていて、オートロックのカードキーが部屋と玄関に設置されていて、二重ロックになっているし、部屋の中にも一人一つずつの大きなロッカーがあります。ベッドもマットレスもかなりしっかりしていて快眠できました。シャワーも24時間、お湯がバッチリ出るし、水圧も充分でした。屋上にソカロを見渡せるテラスがあって、朝食と夕食はここで食べれます。日中、ぼーと本を読むのに最高の場所でした。
スタッフもみんな感じがよく、親切で、当初3泊の予定でいたのが、メキシコシティーが想像以上に面白かったのと、ホステルの居心地が良かったのとで結局6泊してしまいました。
そして、このホステルでいろいろな人と出会いました。
(全員分書いたので、かなり長くなります。)
まず、イギリス人のマルコス。
彼は40歳のイギリス人で、初日だけ僕は彼と同じ2段ベッドの上の段で寝たのですが、次の朝、僕が朝食を食べていると、ものすごい勢いで話しかけてきて「昨日は寝れたかい?眠りを邪魔しちゃったなんて事はないかな?」と言ってくるので、「大丈夫ですよ。こちらこそ上で動いちゃってうるさかったら申し訳ないなって思ってたんです。」と言うと「大丈夫、大丈夫。ところで隣のベッドの下の段が空いたから、そっちに移ってもらえない?ホテルの人には僕が言っておくから。」と言って、僕に違うベッドに移ってもらいたいみたいでした。僕も下の段の方が良かったので「良いですよ。」と言って、隣のベッドに移ることにしました。イギリス人にしてはかなりハイテンションで話しかけてくる人で、最初はちょっと苦手なタイプかもって思いました。
一日、観光して、夜、部屋に戻ると、マルコスがギターを弾きながら熱唱していました。同部屋の韓国人のヨンがそれを聞いて、拍手なんかしていたのですが、僕はちょっとだけ、やれやれって思いました。ギターは週に2、3回練習しているそうです。それでも歌唱力とギターの腕はかなりのものでした。自分で作った曲もあると言って、Traveling gameというタイトルの曲を聞かせてくれました。なかなかいい曲でした。彼が言うには、ずっと放浪しながら暮らしているそうで、イギリスにはあまり戻らず、旅先で仕事を見つけたり、時には路上でギターを弾いて、お金を稼いだりしていると言っていました。今はメキシコシティで英会話の先生をしていて、2ヶ月ほどこのホステルに滞在していると言っていました。メキシコ人の恋人もいるそうです。この後はもう5ヶ月ほどラテンアメリカの国々に滞在して、その後一旦帰国し、また旅行に出るそうです。イギリス人には珍しいタイプの人です。
一度、ホステルの屋上テラスで彼と一緒に夕食を食べ、コロナビールを飲んだのですが「いかに日本人とイギリス人は礼儀正しいか」ということについて話し合いました。彼はいままで各地で会った日本人のほとんどが礼儀正しいことに驚いているということ、僕はイギリスに留学した際に、イギリスでは間接話法と言われるフォーマルな表現(例えば道を尋ねる際に、How can I get to the cetre of London?と聞くのではなく、Could you tell me...とかWould you mind if I ask you...といった感じ)をするように教えられたことなどを話し合いました。いろんな国での体験やそこで会った人々のことなど、彼の話はなかなか面白いものでした。このころには最初の印象と違い、彼は他人のことを非常に気遣う、(ラテン化しているけれども)イギリス紳士だなという印象に変わっていました。
ある朝、彼が目を覚まして、先に起きてベッドの上でネットをしていた僕に話しかけてきたのですが「メキシコシティを離れなくちゃいけない。次に行かなくちゃいけない」と言い出しました。「なんで?」と尋ねると「それがなんでかはわからないんだ。でも行かなくちゃいけない。何かがそう僕に言うんだ。Something tells me I have to move.」と言い出しました。「恋人は?」と聞くと「そうなんだよ。彼女にはそのことは言い辛い。でも言わなくちゃ。」と言います。恋人と別れたくなったんじゃないかとも思ったのですが、そんな感じでもなく(それに別れたいなら別れたいって正直に言うだろう)不思議な人でした。ホステルの女の子達とも仲が良く(まぁ2ヶ月も滞在しているので)マルコスは格好良いとみんな言ってました。きっとこの人はどこの国に行っても、それなりにやってけるんだろうな、すごいなと思いました。最後にメールアドレスを交換したので、いつか日本で会うかも?です。
続いて、韓国人のヨン。
韓国人とはどこの国でも比較的仲良くなり易いです。やはり同じアジア人だということが一番の理由なのですが、他にも韓国人は(日本人もそうですが)あまり直接的な表現をせず、なにかと譲り合う習慣があるので(たとえ心の奥では反日であったとしても)気を使ってくれて仲良くなりやすいんだと思います。ちなみに日本人同士はなぜか仲良くなりにくいです。旅行先に来てまで日本人と話したくないと思っているのか、それとも単にシャイなのか。あとは日本語とそれが作り出す文化体系が仲良くなりにくい原因を作っているように思います。僕自身、英語で話している時の方が日本語で話している時よりもフレンドリーに振る舞い易く感じています。一度、マルコスと夕食を食べていたときに、日本人の女の子1人と香港人の女の子1人、メキシコ人の男の子1人と女の子1人のグループ(彼女はアメリカの大学に留学していて、そこでみんなと知り合ったらしい)が僕らの近くの席に座ったのですが、マルコスが「日本人?」と話しかけて、そこからその子達と少し話したのですが、日本人の彼女は僕が日本語で話しかけても、英語で話し返してきます。途中からは完全に日本語になったのですが、日本語のときはやけにぎこちなく、英語のときの方が、笑顔で感じが良い印象を受けました。
マルコスが「今、日本人が礼儀正しい(polite)だということについて話してたんだけど、君もそう思うでしょ?」とその子に聞くと「No.」と言いました。「なんで?みんな礼儀正しいじゃん?」と言うと、「日本人の男はジェントル(gentle)じゃない。アメリカ人はみんな優しい。」と言い出しました。おいおいちょっと待てよ!と思いましたが、僕はマルコスに「日本人の男だってもちろん女の子には優しいけど、表現の方法が違うんだ。いわゆるジェントルマンってのは日本的じゃないんだよ。でも最近は映画とかの影響で、西洋風なジェントルマンが人気なんだよ。」と日本人の男として一応の弁明をしておきました。そしてその女の子に「でも日本人の顔した男が日本国内でアメリカ人みたいに思いっきりジェントルに君の事を扱ったらどう?」と聞くと、「それはちょっと嫌かも。」と言っていました。女の子って難しいもんです。
話を戻して、ヨンはアメリカにある大学でマスターコースに通っているそうで、春休みでメキシコに遊びに来たそうです。僕より一足先にカンクンに行ってしまい、一足先にキューバに行くそうです。彼ともメールアドレスを交換したのですが、すでに韓国にはカン・キョンミンという親友(と向こうは言う)がいるので、ヨンとはそれほど仲良くなることはないと思います。国ごとに友人の定員数があるというのはおかしな話ですが、すでに友人がいる国の人とは(よほど意気投合しないかぎり)仲良くなりにくい気がします。だって韓国に3人も4人も友達がいたら、韓国に行く度にみんなに会わないといけないし、そのたびにスーツケース一杯の韓国海苔をお土産に持たされるわけですから。同様にイタリア人の友人も今後、よほどのことがない限り作らないような気がします。おかしな話ですが…。
次はアメリカ人のマカンジー。彼はバスでメキシコに入国し、バスでアメリカに帰るそうです。彼もギター弾きで、ギターを持って旅行することの良さを教えてくれました。ドミトリーの部屋とか、街中でギターを弾けば、いろんな人と仲良くなれると言っていました。確かに音楽に国境はありません。アメリカ人のゆとり世代なのかどうかはわかりませんが、(僕の勝手な)アメリカ人のイメージと違って、控えめで、日本人並みのコミュニケーション能力の男でした。どうやらスコットランド系の移民だそうで、彼の控えめな態度はかなり好印象でした。
もう一人、アメリカ人のおじさんがいたのですが、名前は忘れました。この人は60歳で、ひとりで旅行をしているそうです。すごく感じのいいおじさんで、「南部にあるプエルト・エスコンディートという漁村で釣りをしてきたんだ。船に乗って、ロッドも餌も全部込みで1日たったの60ドルで釣りが出来るんだよ。マグロを3匹釣って、カジキもヒットしたんだけど、バラしちゃったよ。」と嬉しそうに教えてくれました。僕に今後の予定を聞くので「カンクンに行って、キューバに行きます。」と言ったら「キューバ、お前さん、あんな危険な国に行くのか?」と言っていました。アメリカ人にとってキューバはやはり敵国なようです。
あと、バスク(ってフランス?スペイン?)のおっさんもいましたが名前は忘れました。この人はスペイン語しか話せないのですが、なんとかイタリア語とスペイン語で話をしていたら「俺はスペイン人じゃない!バスク人だ。」と言われました。きっとバスク地方の人達はブルターニュ地方の人達のように、民族意識がめちゃめちゃ強いんだなと感じさせられました。
あとアルゼンチン人のパブロ。
彼は僕がメキシコシティーを離れる前日の夜に来たので、あまり話はしなかったのですが、僕がキューバに行くと言うと、ちょうどキューバから来たところだから、キューバでお世話になったキューバ人の家を紹介してあげるよと言って、そこの住所と電話番号を教えてくれました。民泊的なことをやっているそうです。流石はラテンアメリカ人だけあって、彼は誰とでもすぐに仲良くなる上に、相手の肩や背中をやたらぽんぽん叩きながら話をします。ああいう人間が部屋に一人いると、みんなすぐに打ち解けられるんだなといった感じでした。将来日本に行くときのために、メールアドレスと電話番号を教えてくれと言うので、お互いに連絡先を交換しました。Facebookもやっているそうで、そっちでもコンタクトするよ。と言っていました。親切で良い人でした。
最後はフランス人のジュリアン。
この人もと同じタイミングでホテルに来たのですが、僕がチェックアウトする日の朝食を一緒に食べました。彼はパリに住んでいて、コンピューターのエンジニアをしていたのだけど、会社をクビになって時間が出来たので、旅行に来たと言っていました。「僕も、まぁクビになったわけじゃないけど、仕事を≪自ら≫辞めて、旅行に来てるんだ」と言っておきました。僕は大のパリとフランス料理好きなので、パリトークで盛り上がりました。彼もまた日本に大変興味があるみたいで、桜の季節に日本に行きたいと言っていました。フランスでは日本を特集するドキュメンタリー番組が人気で、多くのフランス人が日本文化(伝統文化からオタク文化まで)に興味を持っているそうです。「もしまたパリに来ることがあったら連絡してくれたら、It's my pleasureだ。」と言ってました。僕も日本に来たら花見に連れてってあげるよ。と言って連絡先を交換しました。
あとユースホステルで働いてる女の子達もみんな親切で良い人たちばかりでした。
メキシコにはどうやら気さくな空気が流れていて、みんな簡単に友達になれるみたいです。
ヨーロッパのホステルではもう少し人々はけん制しあっていたように思います。
いろいろな国の人と出会えるのって、やっぱり楽しいです。
日本にいるとき、僕は人見知りでひきこもり、低社会適応能力者だけど、外国でたまには羽を伸ばすのって面白いです。
さすがはメキシコ!ラテンの国!
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