2010年3月2日火曜日
Day32 信頼の上に成り立つ国家
今日は世界遺産のスオメンリンナ島へ行ってきました。
スオメンリンナ島はヘルシンキの南東1キロほどの距離に位置する4つの小さな島々からなる島で(4つの島、1つずつには名前がないようです。)かつてはフィンランドの南海岸を守る要塞として機能し、島の海岸線には立派な防御壁が張り巡らされ、砲台が点々と配備されています。スウェーデン・ロシア戦争やクリミア戦争、フィンランド国内戦争などで重要な舞台となったそうです。
でも北欧の歴史なんて、残念なくらいに知らないので、あまりイメージが沸きません。高校生の時にちゃんと勉強しておけばよかった。
スオメンリンナ島へはヘルシンキのマーケット広場と呼ばれるところからフェリーに乗って15分くらいで到着するのですが、このフェリーがなかなか面白い体験でした。
この時期のヘルシンキの海は凍りついていて、一応砕氷船で航路は作ってあるのですが、それでもかなり大きな塊の氷(大きいもので2メートル四方くらいはある)が航路のところどころに漂流しています。船の幅よりほんの少しだけ広い航路をフェリーが進んでいくのですが、航路上に漂流している氷塊をものともせず、乗り上げてばりばり進んでいきます。
おそらくこのフェリーの船底にも氷を砕くカッターが付いていて、氷塊に乗り上げては船の重さとカッターの刃で氷塊を粉砕しながら進んでいました。その証拠に船の前方には2メートル以上もある大きな氷塊が沢山漂流しているのですが、船の後方の航路を見ると、20センチ程度に砕かれた小さな氷の塊しか浮いていませんでした。
往復3.8ユーロ(500円)と安い運賃にも関わらず、なかなか面白い航海でした。
スオメンリンナ島から戻ってきた後、兄がネットで見つけた店に行きたいと言うので、その店に向かって歩いていたのですが、かなり寒かったので、地図を適当に見て、適当な方角を目指して歩いていたら、迷子になってしまいました。
道端で地図を広げていると、フィンランド人のおじさんが「大丈夫?」と声を掛けて来てくれて、助け舟を出してくれたのですが、道を教えてくれた後に「君たちはラッキーだよ。ちょうど僕らもこれから同じ方向に行くから。」と言って、奥さんが運転する車に乗せて近くまで連れて行ってくれました。
普通、道を教えてくれるだけならまだしも(もちろん有り難いことなのですが)、同じ方面だったとはいえ、車に乗せてくれるなんて、なかなかできないことだと思います。
見ず知らずのアジア人なんて、何しでかすかわからないという怖さもあると思うし、ましてや奥さんが運転する車には怖くて普通の感覚じゃ乗せられないと思うのですが、フィンランド人はそんなことを当然のことのようにやってのけるのです。
二日前に同じように道端で地図を見ていたときも、後ろから自転車に乗ったおじさんがやってきて、道を丁寧に教えてくれました。
この国では基本的に人々はびっくりするぐらい親切です。
そのフィンランド人夫婦の車から降りた後、兄と「きっとフィンランドでは人々は信頼の上で暮らしているんだね。」という話をしました。
フィンランドは歴史的には数百年間にわたってスウェーデンとロシアの支配下にあり、最終的に独立したのは1917年という比較的新しい国家なのです。
こんなに長い間弾圧されていた国の国民が、こんなにものびのびと暮らして、他人を信頼しあっているなんてにわかに信じられません。
でもきっと、長い間支配されていた弱い立場にあった国だからこそ、他人に優しくできる人達なんじゃないかって思います。
痛みを知り慈しみを知るということなんじゃないかなと思いました。
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