2010年2月20日土曜日

Day21 夜のルーブル美術館


パリ、いやフランスきっての美術館といえば、誰もが知るルーブル美術館です。

毎週、水曜日と金曜日は21:30まで開館しています。この日の18:00以降の入館料は6ユーロと通常より3.5ユーロ安くお得に利用できます。
今日は水曜日、ということで、18時過ぎからルーブル美術館に行ってきました。
実は今回のパリ滞在でルーブル美術館に行くのは2回目です。前回と前々回を入れるともう4回目になります。かなりのルーブル美術館マニアと疑われても反論できません。

水曜の夜のルーブル美術館は昼間よりも少しだけ空いていて、スムーズに入館することができました。
それでもガラスピラミッドのある正面入り口はセキュリティーチェックの行列が出来ていたので、地下鉄の駅の方の入り口から入館しました。もう4回目なので、どこから入ればいいのかもお手の物なのです。ちなみに地下鉄の駅がある入り口にはガラスの逆さピラミッドがあります。

ルーブル美術館は3つの展示館、シュリー翼 (Aile Sully)、ドゥノン翼、(Aile Denon)、リシュリュー翼 (Aile Richelieu)から構成されています。シュリーを正面に右手にドゥノン、左手にリシュリューが配置されていて、建物はどれも半地下、地上階、2階(フランスでは1階)、3階(フランスでは2階)の4層になっています。
大雑把に区分けすると、半地下にはフランスの彫刻と中世ルーブルの歴史資料、地上階には古代エジプトや、古代ギリシャ、ローマ帝国時代の彫刻など、2階には14世紀から17世紀ごろまでのフランス絵画の大作、イタリア絵画、一部イギリス絵画やスペイン絵画、3階には17世紀以降のフランス絵画の歴史順展示、オランダやベルギーのフランドル派の絵画が展示されています。

兄はルーブルについてまだまだ素人のようだったので、前嶋スペシャル2時間半コースを案内することにしました。

まず半地下にあるエントランスから正面のシュリー翼に入り、ルーブル宮の歴史の部屋を通過して左側にある階段を登り、地上階に上がります。階段の左手の部屋に進むと両腕のない「ミロのヴィーナス」が出迎えてくれます。「ミロのヴィーナス」の部屋を出て、ドゥノン翼方面に進み、次の階段を上がると、踊り場に両腕と頭部のない「サモトラケのニケ」があります。この2体の像はとにかく有名です。なぜ有名なのかはよく知りませんが、とにかく有名なので一応チェックしておきます。この2体とモナリザがルーブル美術館の中で突出して有名です。ニケの像を左手に見ながら、続く階段を上ると、中世のイタリア絵画が展示されている長い廊下に出ます。この廊下は400メートル走コースが直線でとれるくらいの長さです。中世のイタリア絵画の主題はとにもかくにもキリスト教です。イエスの生誕だとか、最後の晩餐だとか、十字架にかけられるイエスだとか、十字架から降ろされたイエスだとか、聖書の中の有名な場面の絵ばかり展示されています。同じ場面や、同じような構図の絵が多いので、見比べながら見ると面白いです。すこし歩くと左手に人だかりがあり、ここには天才レオナルド・ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」と他の作品が展示されています。その少し先の右側にある小部屋にはいると、今度は黒山の人だかりです。小部屋の奥にダ・ヴィンチの「モナ・リザ」が展示されています。初めてパリに来たとき、ちょうどダン・ブラウンのダ・ヴィンチ・コードを読んだ後だったので、かなり興奮したのを覚えています。当時はかなりミーハーでした。「モナ・リザ」小部屋を出て、元のイタリア絵画の展示廊下に戻り一番奥まで進みます。イタリア絵画が時代ごとに展示されているので、技法の上達から描き方の違いなどを順を追ってみることができます。面白いのは宗教改革が起こりカトリック教会の勢力が弱まり始めた17~18世紀頃の絵画です。カトリック信者を獲得するためか、絵画の描かれ方が急にドラマチックで荘厳な、少女漫画のようなタッチに変わります。バチカンの焦りと企みが見て取れます。さらに先の部屋にはスペインとイギリス絵画のコーナーがあります。サー・トーマス・ローレンスなどの作品が展示されています。すこし引き換えして、左手に入り、もう一つの廊下に出ると、今度はフランス絵画の大作のコーナーです。ばかでかいキャンバスに描かれたフランス革命の様子やナポレオン・ボナパルトの肖像画などが展示されています。これでドゥノン翼の2階は終わりです。来た道をシュリー翼まで引き返します。
同じフロアの違う建物にはエジプトの遺跡資料の展示やルネッサンス時代のイタリア芸術の展示などもあるのですが、時間がないので、ここはパスします。
シュリー翼に戻り、今度は3階に上がります。シュリー翼の3階には17世紀から19世紀までのフランス絵画が時代順に展示されています。バロック様式、ロココ様式、写実主義などその時代時代の有名な作品が展示されています。最後にフランスのバルビゾン派の絵画のコーナーがあります。バルビゾン派は時代が印象派に移る前の時代の作風で、パリ南部にあるバルビゾン地方の田園風景を描いた画家たちの流派です。森が濃く深く書かれていて、どちらかというと全体的に暗い色調の作品が多いのが特徴です。僕はこのコーナーが一番好きで、中でもテオドール・ルソーの作品が気に入っています。「落穂ひろい」を描いたミレーがこの流派の中で一番有名な画家ではないでしょうか。ちなみに「落穂ひろい」は隣のオルセー美術館に展示されています。
このコーナーを見終わるといよいよ最後、リシュリュー翼の3階に展示されているオランダ、ベルギー、フランドル派の絵画コーナーです。見逃してはいけないのが、フェルメールの「糸を紡ぐ女」の絵です。フェルメールはもう一点展示されています。その奥にレンブラントやフランス・ハルスといったオランダ黄金時代の黄金世代の絵画が展示されています。あとはベルギーのルーベンスのコーナーなどが見所です。レンブラントやフランス・ハルス、フェルメールに関しては、ルーブル美術館にもかなりの数が所蔵されているのですが、やはりアムステルダムのオランダ国立美術館、ライクスミュージアムの方が量も質も圧倒的でした。地元強しです。

これだけ見ると大体2時間半かかります。言葉も出ないくらい疲れ果てます。
ルーブル美術館はすべての部屋を見ようと思ったら1日はかかるんじゃないでしょうか。真剣に見れば1週間は軽くかかると思います。

僕は前にパリに来たときに西洋美術史について少し勉強をしてから来たので、さわり程度であればルーブル美術館のガイドを務めることができます。
後は今回の旅行でオランダのライクスミュージアムとゴッホミュージアムでは音声ガイドを借りて、すべて聞いたので、オランダ黄金時代の芸術とゴッホに関してもかなり詳しくなりました。
兄は僕の無料のガイドツアーに満足していた様子でした。

ルーブル美術館は世界3大美術館と言われるだけあって、かなり見ごたえがあります。映画一本より安い入場料でこれだけの美術品を見れるなんて、パリの人たちは幸せ者です。

これから先、まだまだ超有名な美術館、博物館に行けるので、がっつり勉強しようと思います。

でも僕の美術の成績は5段階中3で(しかもお情けの3です)、絵心は壊滅的です。

0 件のコメント:

コメントを投稿